以下の写真は奈良県川上村中奥地域に分布する火砕岩(tuffite)岩脈およびそれから供給された転石からの写真です。まだまとめている最中のためリンクは張らないでください。以下、各写真の解説です(写真はクリックすると拡大されます)。質問・コメントがありましたら和田まで御連絡をいただけると幸いです。
1a: 岩脈D3の北端。岩脈の外縁に位置する細粒岩相。大部分、火山灰サイズの細粒物からなる凝灰岩。
2a: 岩脈D1から供給されたと考えられる転石。細粒岩相とtuffite相の境界。
3a: 岩脈D1のtuffite相。火山礫〜火山岩塊サイズの本質岩片・異質岩片を多量に含む火山礫凝灰岩。本質岩片は溶結した流紋岩質火山礫凝灰岩である。岩片形状としてはブロック状のものと不定形状のものが混在している。本質岩片と基質との境界面は全体的・部分的に波打つとともに、岩片周縁部は微珪長質組織となっている。
3b: D1のtuffite相に含まれる流紋岩の本質岩片。このほか、tuffite相には玄武岩、安山岩、デイサイトの本質岩片も含まれる。
3c: 本質破砕岩相(5a〜5g)に由来すると思われる墨流し様の断片。
3d: 比較的本質岩片の少ないtuffite相の切断面(スケールは1mm間隔)。
3e: 比較的本質岩片の多いtuffite相の切断面(スケールは1mm間隔)。
3f: tuffite相の顕微鏡写真(写真の横幅=6.96mm)。岩相としては3dに近い。
4a: tuffite相と岩脈中心部に位置する本質破砕岩相の境界付近からの現地性転石。白色マトリックス(本質破砕岩相)と黒色マトリックス(tuffite相)の境界は漸移する。
4b: tuffite相と本質破砕岩相の境界付近を示す現地性転石。本質破砕岩相に含まれる溶結本質岩片とその白色マトリックスがtuffite相へ移行する際には、岩片はほぐれずマトリックスのみがほぐれていく。その様子が見られる。
4c: tuffite相と本質破砕岩相の境界付近を示す現地性転石。4bと異なり、本質破砕岩相がblock状に割れており、brittleな破砕が起こっていることを示している。
4d: tuffite相と本質破砕岩相の境界付近を示す現地性転石。tuffite相のマトリックスは4a〜4cのような黒色ではなく灰白色である。本質破砕岩相起源の火砕物がtuffite相中にかなり多く含まれていると思われる。
4e: tuffite相と本質破砕岩相の境界付近(あるいは本質破砕岩相の周縁部)を示す現地性転石。溶結本質岩片はブロック状であるが、ここの岩片はductileな変形をしており、一方向に引き延ばされている(あるいは流動している)。
5a: tuffite相と本質破砕岩相の境界付近(あるいは本質破砕岩相の周縁部)を示す現地性転石。tuffite相がネットワーク脈状に本質破砕岩相の中に入り込んでいる。ductileな変形を示す部分(写真左下)からbrittleな変形を示す部分(写真右上)まで変化する。
5b: 本質破砕岩相(の周縁部?)を示す現地性転石。直線的な割れ目を充填しているのはtuffite相の黒色マトリックス。brittleな破砕を示す。
5c: 本質破砕岩相の現地性転石。亀甲状割れ目が入り、tuffite相の黒色マトリックスが充填している。所々に見られ方向性のある緑黒色の破片は溶結した軽石レンズ。
5d: 本質破砕岩相の現地性転石中の溶結レンズ。剪断変形によりS字状になっている。
5e: 本質破砕岩相の切断面。斑状の本質岩片(中央左上)がより細粒のマトリックス中に含まれる。中央右下には緑色の溶結ガラスが見られる。
5f: 本質破砕岩相の切断面。5eと同様、斑状の本質岩片が細粒のマトリックス中に含まれる。
5g: 本質破砕岩相の現地性転石。5e、5fと同様、斑状の本質岩片が多数含まれ、選択的に浸食されている。
5h: 本質破砕岩相の現地性転石。5e、5fと異なり、斑状の本質岩片は明瞭な境界を持たず、周縁部がマトリックスに漸移している。
5i: 5hの本質破砕岩相中の本質岩片の拡大。周縁部から構成粒子がばらけていくように見える。
【参考文献】
和田穣隆・岩野英樹(2001) 紀伊半島中央部,奈良県川上村中奥に分布する火砕岩(tuffite)岩脈.火山, 46(3), 107-115.