室生地域
曽爾村の屏風岩.
室生地域には約1400万年の非常に大規模な火砕流によってできた火砕流堆積物があります.堆積の直後に冷えて固まり,溶結火砕岩と呼ばれる岩石が奈良県から三重県にかけて分布しています.室生口大野にある大野寺の石仏や,曽爾村の鎧岩・兜岩・屏風岩はすべてこの岩石からできています.室生の溶結火砕岩は黒色のものと白色のものがあります.最大で厚さが400mに達するこの火砕岩のうち,黒いものが下位に,白いものがより上位にあります.この色の違いは化学組成の違いではなく,冷却の仕方の違いのためと考えられています.
室生火山岩(黒)
含黒雲母流紋岩質火山礫凝灰岩(溶結)(火砕流堆積物)
Biotite-included Rhyolitic Welded Lapilli Tuff (pyroclastic flow deposit)
露頭写真(亀甲模様は柱状節理の断面)
切断面の写真(スケール=1cm間隔)
薄片写真(平行ニコル)(横幅6.7mm)
薄片写真(直交ニコル)(横幅6.7mm)
記載
採取地
都祁村貝ヶ平山北麓(135゚57'02"E, 34゚33'50"N)
鉱物
斜長石,石英,黒雲母を含む.斜長石のサイズは0.1~4mm,自形で双晶・累帯構造をもつものが多い.変形によると思われる細ひも状あるいは棒状のパーサイト的構造が見られる.また直交する割れ目の発達しているものもある.集斑をなしているものはわずかである.黒雲母を包有しているものがある.石英はサイズが0.1~2mm,融食されて丸くなっていることが多い.また不規則な割れ目が発達しブロック化しているものもある.黒雲母は短冊状ないし板状である.組織に沿って変形していることが多い.包有物として不透明鉱物・ガラスが見られるが,この不透明鉱物は黒雲母のみに包有されている.集斑をなす黒雲母がある.サイズは<0.1~2.5mmである.
基質
ユータキシティック(eutaxitic)組織.気泡は多いものの,白い溶結火砕岩に比べ少ない.わずかに異質岩片が含まれる.マトリックスのガラスには真珠状割れ目(perlitic crack)が発達している.
室生火山岩(白)
含黒雲母流紋岩質火山礫凝灰岩(溶結)(火砕流堆積物)
Biotite-included Rhyolitic Welded Lapilli Tuff (pyroclastic flow deposit)
切断面の写真(スケール=1cm間隔)
薄片写真(平行ニコル)(横幅6.7mm)
薄片写真(直交ニコル)(横幅6.7mm)
記載
採取地
室生村無山(135゚58'39"E, 34゚35'01"N)
鉱物
斜長石,石英,カリ長石,黒雲母,不透明鉱物を含む.斜長石はサイズが0.2~2.5mm,自形で集斑をなすものがある.双晶(アルバイト式)や累帯構造を示す場合がある.変形によると思われるパーサイト的な構造が観察される.石英はサイズが<0.1~5mmである.自形ないし半自形で,ガラス包有物をもつものが多い.その包有物中に六角形の不透明鉱物を含んでいるものがある.カリ長石は自形ないし半自形で,汚れた感じを呈する.サイズは0.5~1.8mmである.黒雲母はサイズが0.2~1.3mm,ユータキシティック組織に沿って変形していることが多い.不透明鉱物はサイズ0.2~0.5mm,黒雲母と集斑をつくる.
基質
ユータキシティック(eutaxitic)組織.マトリックスはガラス質であるが,脱ガラス化(devitrification)が進んでいる.レンズ状に引き延ばされた軽石を含む.異質岩片は見られず気泡が多い.